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「(仕方ないねえ。気が進まないんだけど、ナイトインアーマー君に出動をお願いしようかな?)」
小太りの看守長は短い腕で懐をまさぐるが。
おや?という顔でズボンの右のポッケ。
左のポッケ。
尻のポッケも探すが携帯電話が見つからない。
「あ。」
看守長は短い声を上げ。
自分の携帯電話は今まさに追跡中の超凶悪脱獄犯に今朝貸してやったきり。
奴が持ったままであることを思い出した。
「…全隊全力全速前進。」
顔色を変えた看守長が、今度は短く指示を出す。
「サー!イエッサー、サー!全隊全力全速前進!」
運転席に突っ伏している看守に替わり。
隣席の砲撃手を務める看守が脚を伸ばしてアクセルを踏む。
唸りを上げ回るキャタピラー。
後続の戦車部隊がそれに続き、上空を戦闘ヘリが飛ぶ。
「(証拠は塵ひとつ残せん…残さん!)」
戦車の後部からボムと発射された焼夷弾が、全滅した警察部隊を無情に焼き払った。




