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「まったくもぅ…君たちはなんでそう、そろいもそろって無能なのかな!使えないのかな!これはもう僕に対するいじめじゃないのかな!」
のかな!のかな!のかな!と。
小太りの看守長は足下の運転席を踏みつける。
運転手を務める看守の頭が蹴られる度に、右へ左へよれよれよれと。
重い戦車がふわふわ揺れる。
「(困ったねえ、ヨクフカ港周辺一帯は完全封鎖して、できるだけ秘密裏にナイナイしちゃいたかったんだけどねえ。困ったねえ、困ったねえ、困ったねえ。)」
困ったねえ、困ったねえ、困ったねえと。
泣きそうな顔で看守長は、ブツブツ言いつつ運転席を踏みつける。
看守長の重めの体重がモロに垂直方向にかかる容赦ない踏みつけ。
何度も頭にもらった運転手を務める看守は既にぐったりと前に突っ伏しているが。
キュッポラから外を伺っている看守長にはそれが見えない。
重い戦車はふわふわと。
酔っ払ったように揺れながら進む。




