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「…どうしたの?早く連絡しなさいよ。」
小太りの看守長が訝しい顔をしてみせる。
「サー!イエッサー、サー!」
足下から運転手を務める看守が応える。
「いや、うん。だから、早く連絡。」
「サー!イエッサー、サー!」
「連絡。」
「サー!イエッサー、サー!」
「僕を怒らせたいのかな?」
「サ、サー!イエッサー、サー!」
運転手を務める看守はわたわたと。
無線機のダイアルを慌てて回す。
「サージ、サージ、こちらは軍刑務所所属、イェーガー1。ヨクフカ港守備隊に連絡、連絡……その……、あの…えー………変態。」
狭い戦車の車体の中に。
気まずい沈黙の時間が流れる。
「…連絡はそれで終わりなのかな?」
「サ、サー!イエッサー、サー!」
「ひょっとして、覚えられなかったのかな?」
「サー!イエッサー、サー、」
「おばか!!!」
小太りの看守長は勢いよく足下の看守の頭を蹴飛ばす。




