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「まったくもう君たちは…さっさと追えよ!ていうかむしろもう、撃て!撃っちゃって!!」
「サー!イエッサー、サー!!」
看守長が叫び、看守たちが叫ぶ。
聞き慣れた機関銃の銃撃音。
俺の背中を銃弾が叩く。
なんだ。
今日は射撃訓練でもやっているのか。
始めるまえに人がいないか、確認しなきゃだめだろう。
確認しなきゃだめだろうと俺は思う。
「逃がすな追え!追え!!」
「ロケットランチャーだ、ロケットランチャー持ってこい!」
「むしろ戦車!!」
看守たちが走り回り、けたたましくサイレンが鳴る。
ずいぶんと大規模な訓練だな。
また戦争でもやるのか。
「緊急事態、緊急事態!脱走!脱走!全職員は直ちに対処にあたれ!!銃器の携帯、使用も許可する!これは訓練ではない、直ちに対処にあたれ!!」
所内放送が繰り返している。
なんだ。
訓練ではないのか。
事故でも起きたか。
事故でも起きたかと俺は思う。




