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「ゴール。」
ばたばたばたと。
看守長は足踏みをしながら両腕をくるくるとまわす。
足踏みにあわせて下腹の肉がたぷたぷと揺れる。
なんだ。
あれはクズダンスとかいったか。
さっきも誰かやっていたな、流行っているのか。
流行っているのか、と俺は思う。
「さて、サッカーの時間は終わりです。いい加減で作業を始めないとね。朝起きて、飯食っただけで既に19回。3週間近く経過しているとか。もう少しスケジュールの管理を考えて頂かないと。」
なんだ。
看守長はまたおかしなことを言い始めているな。
意味のわからない奴だ。
意味のわからない奴だと俺は思う。
「ほら、囚人の皆さんは2列縦隊に並んで、看守の君たちは先導。さっさと作業場に…。」
「あっひゃっひゃっひゃ!」
看守長の言葉を遮り。
しょうべんを漏らした当番看守が突然笑い出す。
なんだ。
看守長の言葉がそんなに面白かったのか。
今のは普通だったぞ。




