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「そうだよ!ねえ!定刻は8時だよねえ!僕の軍刑務所は定刻8時から、毎日作業開始なんだよねえ!!」
看守長は。
地団駄を踏みながら、なんだよねえ!なんだよねえ!と喚き始める。
小太りの看守長の下っ腹が、足踏みにつられてたぷたぷと揺れる。
そんなに大声を出さなくても大丈夫だぞ。
8時から作業開始なのはみんな知っている。
さっき自分が教えてもらったことを、みんなにも聴こえるよう。
そうやって大声で伝えてくれるのはありがたいが。
ありがたいが、と俺は思う。
「8時だよねえ!もう、8時過ぎてるよねえ!?なんで8時過ぎてるのに、3階のB班は食堂で遊んでいるのかな!ねえ!なんで遊んでいるのかな!ぼくの軍刑務所は毎日、定刻8時から作業開始のはずなんだよねえ!!」
なんだよねえ!なんだよねえ!と。
看守長は地団駄を踏む。
たぷたぷたぷと下腹が揺れる。
看守たちはおどおどと。
困ったように固まっている。




