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「ふーん?そおなんだあ。定刻より作業開始なんだあ。」
うんうんと頷く看守長。
今日の予定を把握できたようだ。
しっかりした部下がいて良かったな。
良かったな、と俺は思う。
「それで?定刻ってのは何時なのかなあ?僕の軍刑務所の定刻ってのは、8時だったと思うんだけどなあ?ねえ、何時?定刻って何時?」
ずいずいずいと。
看守長は近くの看守に尖らせた唇を近づけていく。
なんだ。
やっぱりキスするのか。
おかしな奴だな。
おかしな奴だな、と俺は思う。
「サー!イエッサー・サー!定刻とは、8時であります看守長殿!サー!」
精一杯後ろに身体を反らし。
看守長の唇から逃れながら近くの看守が答える。
こいつは本当にしっかりした看守だな。
若いのにたいしたものだ。
看守長も見習ったほうがいいんじゃないのか。
「へーえ、8時なんだあ。やっぱり作業開始は8時なんだよねえ。」
看守長はうんうんうんと頷いている。




