22/1502
1 - 21
「いい加減、諦めません?どう考えてもこの車、位置情報がトレースされてますし。これだけ撃たれちゃったらもう、芸術的価値もなにもないでしょ。修理するにせよ、どのみち足がつきますよ。」
眼鏡のラジオコントロール。
呆れたように、眼鏡をクイッ。
眼鏡の覗くタブレットの画面の中には、0と1の数字の羅列。
オバマの発するG・P・S情報、それを受信する人工衛星自体をハッキング。
得意の遠隔操作を行おうという試みである。
実は彼にとって、その程度の芸当はビフォア・ザ・ブレックファスト。
児戯にも等しいことなのだが。
現状でそれをしないのは、ヴィンテージとして価値のあるオバマに手を加え、「オリジナル」の持つ機能が喪われる事を隣のハンサムが許さないからである。
彼は溜息をつきつつ。
いざともなれば迫りくるポリスメンカーの操作を奪い、隣のハンサムを見捨てて逃げる心積もりでいる。




