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<ハー!>
変な車のボンネットが開き。
変なエンジン音が鳴り響く。
<ミーハオイストリッヒシャノシンセイヒン、スーパーカソクノムーンロケット!ツキマデイケチャウムーンロケット!ゴカテイデオテガルニロケットノカソクオ!ムーンロケット、カミングスーン!!>
変な車のカー・ステレオから大音響で流れるいけすかないCMソング。
変な車である。
「…捨てましょう。」
ボンネットを閉じる大柄の男。
パチパチパチパチと賛同の拍手。
賛意は9割以上、といったところか。
円卓の隅にただ一人。
甲冑の騎士だけがじっと動かず、置物のように座っていた。
こうして現存する「ムーンロケット」、その最後の1台は暗黒の宇宙空間へと廃棄され。
今でもいけすかないCMソングを垂れ流し、慣性の働くままに星の海を走り続けている。
<ゴキゲンナカー・ライフオオヤクソクシマス!ムーンロケット、ナウオンセール!!>




