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さ。
今度こそ帰りますよ。
ほら、立った立った。
この期に及んでだらだらと。
体育座りを続ける無職の皆さんの。
尻を叩いて追い出しにかかります。
工場の外周は死屍累々。
煙を上げるパトロールカーがあちらこちらにひっくり返り。
機動隊の皆さんの呻き声が途切れ途切れに聴こえます。
「悲惨ねえ…。」
「眼鏡くん、相変わらず真面目な公務員の皆さんに容赦ねえな。恨みでもあんの?」
長髪の方と、馬鹿の方。
無職の二人が眼鏡を見ますが。
眼鏡は明日も仕事なんです。
早く帰りたいんです。
文句ありますか。
皆さん出ましたね。
では、最後の総仕上げ。
眼鏡はタッタッタ、と画面をタップ。
自動工場に設定されている。
非常用緊急自爆システムを起動させます。
これにて「ムーンロケット」のプロジェクトは完全に消滅。
一瞬。
美貌のニイヤマ課長の顔が頭を掠め。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。




