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ウィィィと音を立てて。
天井から伸びたロボットアームが、変な男に迫ります。
「ハー!?」
突然頭を掴まれた変な男は、変な悲鳴をあげながら宙に吊り上げられ。
ポイと投げ捨てられたその勢いのまま。
コントロールルームの窓ガラスを突き破り、階下の組み立てエリアへと落ちていきます。
ゴウン、ゴウンとまわるコンベヤーが変な男をキャッチ。
工場の奥へと運んでいきます。
「ハ、ハ、ハマノマサゴハツキルトモ…、ハー!!」
変な男の辞世の句、断末魔の叫び。
変な男でした。
悲しむことはありません。
小一時間ほどで彼はきっと。
変な「ムーンロケット」として組み立てが完了することでしょう。
快適なカー・ライフをお楽しみください、アーメン。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
さ、帰りますよ、みなさん。
眼鏡は構内放送のマイクを取り。
間の抜けた顔でこちらを見上げている社会不適合者どもの一団に呼び掛けます。




