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冬の日の目覚めは遅く。
寒い朝となればそれはなおさら。
心地よい倦怠感の中目覚めた眼鏡は、枕元を右手でまさぐり。
眼鏡、眼鏡を探します。
おぉ、眼鏡。
眼鏡を発見。
やはり僕は眼鏡ですので。
眼鏡がなくては始まりません。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
飲み慣れない安ビールと。
昨晩の疲れで重い身体。
頭を振りつつ起こしますが。
これも枕元の携帯端末。
鬼のような着信履歴。
なるほど、時刻は夕方に近く。
とっくに出社していてしかるべき眼鏡が。
ボンワリ座っているということは。
会社にとってそれはもう、問題であるというわけです。
ま、こうなっては、いた、仕方なし。
携帯端末を元通り、枕元に投げ出す眼鏡。
有給休暇の事後申請。
明日、出さないといけませんね。
そんな事を考えつつ、これもまた元通りベッドに投げ出す身体。
きぃっ!という叫びが脳裏をよぎり。
眼鏡は思わず苦笑します。