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「そろそろ来る頃だと思っていたぞ。」
甲冑の騎士。
ナイトインアーマーが重い声で言う。
「あー、まあ…いらっしゃるだろうとは思ってましたよ?」
止まらない男。
ノンストップが軽い声で言う。
「オッサン、お仕事。やっちゃってください。」
ずい、と一歩前に出た半裸の筋肉サイボーグ。
ソニックがバキッ、ボキッ、と拳を鳴らす。
二人の超人、深夜の決闘。
その始闘を告げるゴングのように。
ビーッ、ビーッ、と警報が鳴り、オレンジの回転灯がくるくる回る。
「シンニュウシャアリ。シンニュウシャアリ。ケイカイタイセイニイコウ、ケイカイタイセイニイコウ。キケン、キケン、サギョウインハタダチニタイキョセヨ。サギョウインハタダチニタイキョセヨ。」
賊の侵入をキャッチした自動工場の防犯システムが、無機質な機械音声で耳障りに騒ぐ。
静かな冬の夜の風景は一転、明確な修羅場の光景へと入れ替わっていく。