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「あなたって本当…冷めてるのね。」
呆れた、という調子で。
愛しのニイヤマ課長どのが呟きます。
「もう少しこう、仕事に対して情熱とか、やりがいとか…上司としてはそういうものを持っていて欲しいのだけど?」
苦笑というのはこのような顔を言うのでしょう。
まさに苦そうに笑っています。
まあ。
部下の眼鏡といたしましても。
せっかく〆切までに間に合わせて提出した計画書を、翌朝1番で突っ返されるような理不尽がなければ。
もう少しこう、仕事に対して情熱とか、やりがいとか。
そういうものを持てるんじゃないかと思うのですが。
普段あまり飲まないビールのせいか。
うっかりこぼした眼鏡の不満に、キョトン、とした顔のニイヤマ課長。
「案外、根に持つのね…。」
心底意外そうにおっしゃいます。
まあ。
眼鏡も一応。
ごく普通のサラリーマン眼鏡である前に、心ある人間ですので。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。