174/1502
3 - 50
定時のチャイムが鳴りまして。
眼鏡の1日が終わります。
電話とって、PC打って、悪いと思っていないのに謝って。
今日もいつもと変わらぬ1日でした。
帰りましょう。
家に帰ってとりあえずグラブる。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
「…それはわかっています、しかし!今回の一件はあまりにもイレギュラー過ぎます!危機管理の範疇を明らかに越えています!」
おや。
廊下に出た眼鏡を襲う、聞き慣れた金切り声。
後ろ姿の妙齢の女性が、大柄な男性に何かを訴えています。
やれやれ。
もう眼鏡の1日は終了しているんですが。
眼鏡は関わり合いにならぬよう。
視線を合わせずに進みます。
「起こりうる最悪の事態は必ず最悪のタイミングで起こるものだよ。常にあらゆるリスクを想定し行動せよ、我が社の社訓のはずだがね。」
大柄な男性が穏やかな声で女性を諭します。
ええ。
廊下で騒がない。
我が社の社訓のひとつですね。