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眼鏡を装着しましたので、眼鏡は世界の全てを視認できます。
おや。
視界が妙にボンワリぼやけて。
世界に霧のかかるが如し。
これはどうした事でしょう。
目の前の女性もキョドキョドと、挙動不審のご様子です。
僕らは眼鏡ですので。
眼鏡が機能しないと落ち着きません。
なんでしょう。
眼鏡を破壊するウイルスでも社内に発生したのでしょうか。
眼鏡率96%を超える、当社を狙ったバイオテロ。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
む。
眼鏡アクションが決まりません。
眼鏡をクイッとやる中指に、かかる眼鏡の重量が軽い。
なんでしょう。
毎日PC打っていたので。
知らず知らずに中指の筋力が強化されたのでしょうか。
「あの…。」
目の前の女性が眼鏡を眼鏡に差し出します。
それはどうやらマイ眼鏡。
つまり。
こちらがどうやらユア眼鏡。
これは失礼。
眼鏡の二人はお互いに。
入れ違った眼鏡を交換します。