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「貴様にわかるか?それまで歩んできた人生が、育まれた歴史が!ある日突然『なかったこと』にされる絶望感が!その先にあった未来を奪われ、完全な虚無に放り出される者の気持ちが!わからない…そうだろうとも!!都合が悪くなるとすぐに『方向を変えて』他の可能性へ逃げ続けてきた貴様には、絶対にな!!!」
あ、聴こえてた。
俺ちゃんの声は聴こえてるみたいね、会話は成立しないけど。
どうしようかな、旦那なんか盛り上がっちゃってるし。
もう終わるまでテキトーに相槌打っとけばいいかな。
「私が誰だかわかるか…フッフ、わかるまいな、私は!貴様が人生に行き詰まって、どうにもならなくなった時。『方向を変え』ずに自力で困難に立ち向かい真っ直ぐ生きてきた可能性の世界線に存在した、もう一人の貴様だ!もはや顔を見ても『自分』だとわからぬほど 、異なった刻を歩んできた…な!!」
はい。
ひとふでがきですね。




