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round - 113
「邪魔だ。」
暗闇の、また闇の奥暗黒の中より西洋鎧の擦れる音。
ひとつひとつの動作のたびに金属板を擦り合わせ、甲冑の騎士はゆっくりと、席立ちこちらへやってくる。
彼言うところの『邪魔』者たちを、円卓囲む者たちを、一斉雑に宇宙へ処分、躊躇いもなく全滅させた、人の心を持たない鎧。
あたかも旧い時代のホラーの映画に出てくる怪物然。
さような化物とただふたり、この部屋の中取り残されて<当番>の男は向かい来る、一歩一歩と確実に、上原歩みよる『死』に対し目を見開いて硬直している。
「は、発言は挙手をしてから…?」
ようやっと。
振り絞って出た反撃は、彼の得意のいつもの台詞。
必死の想いが通じたか、ガシャリと音たて立ち止まり、すっと手を挙げ西洋甲冑、<当番>の男の指示を待つ。
無法と律儀の絶妙加減。
<当番>の男の思考が止まる。




