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「えっ!?どうなんだ!?」
限界を迎えた男が突然、<当番>の男に怒りをぶつける。
<当番>の男は『(えっ俺?)』と戸惑いながらもこの場で唯一、一応。
『名前』を持ってる立場の悲しさ、ただ<当番>だったが彼の不幸。
円卓囲む部屋中の、『名前』をもたない者らの視線と非難の意思をその身に浴びる。
「偉そうなことをいって!!何分経った、何時間経った!?システムは復旧しているのか、避難放送が鳴り止まないぞ、大丈夫なのか、自爆システム!なんのことだ、我々は何も知らないぞ!!」
<当番>の男は『(知らないよ)』と泣きそうな顔で眉毛を曲げつつ、いつもの彼の得意のセリフ、『発言は挙手してから』と注意せんとす。
「黙れ。」
暗闇の中、部屋の隅。
円卓囲む一角のうち、もっとも闇の深い位置。
闇の底から聴こえた声が<当番>の男の言葉遮る。




