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round - 97
半裸のサイボーグ。
ソニックの太くごつい腕、痩せた躰の薄い胸からただゆっくりと引き抜かれていく。
「ぼっ…ぼく、は…ぼぼ、く、は…、ねぇ。」
ゆっくりと。
最期の言葉を遺しつつ、前に倒れるアイスクリームベンダー。
それを見贈るソニックの握った拳からサラサラと、零れ落ちゆく金属粉、機械仕掛けの心の臓、終わった命の昔のかけら、とうに終わった『昔』のかけら。
仁王立ちするソニックは何か言いかけそしてやめ、次の一歩を前に踏み出す、それは『仕事』へ行く一歩めか、『仲間』のもとへと帰る一歩か。
しかし、しかしてその刹那。
機械仕掛けの巨体はどこへも一歩も前にすすまずに、爆炎の中に包まれる。
断続的に続く轟音、砲弾爆ぜる破裂音。
閃光、業炎、プラズマ火球、ホールの中が包まれる。
「ハー!」
突如にあがるおかしな奇声。
おかしな姿のおかしな男、尻から生やしたパイプをふりふり、いと嬉しげに跳び踊る。




