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round - 84
なあ、ロボ公。
『昔』ってのはうしろだろ。
いまの前に出てきちゃいけない。
いまの前にいちゃいけない。
サイボーグ部隊も戦場も、ぜんぶうしろにあるものだ。
俺のうしろにある残骸、焦げて壊れてうごかない、ロボ公の山があれが昔だ。
昔はもううごかないし、昔はもう戻ってこない。
そうだろう?
なあ、ロボ公。
「ハッシャシマス。」
そうだろう。
そうだろう、と俺は思う。
俺は長い通路を進む、俺はいまを進んでいるんだ。
うしろはどんどん遠くなる、いまの俺に置いていかれる昔はうしろに残されていく。
長い長い通路の先の、俺のいまの、行き止まり。
「や、やっときてくれたねえ、ソ、ソ、ソ、ソニックぅくぅん。ソニックぅくんならぜったいきてくれると思って、ここで待ってたんだようぉ。あ、あ、あ、アイスクリームぅ。」
広く開けたホールの中で隣のやつが待っていた。
いまの俺の、俺の前 。
俺の昔が待っていた。




