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round - 83
こっちのロボ公が焼いたロボを。
ビームで焦げたあっちのロボを。
齧りながら、俺は進む。
長い通路を俺は進む。
俺のあとにはロボの残骸。
こっちのロボ公のビームで焼かれて、俺が齧ったロボの残骸。
たくさん集まってきたロボもいつしか数が増えなくなって。
こっちのロボ公がビームで焼いて、俺が齧っているうちに。
俺たちの前にはいなくなった。
俺たちのあとは残骸だらけだ。
なあ、ロボ公。
お前さんに『昔』はあるかい。
俺にはある。
サイボーグ部隊で戦場にいた、それが俺の、俺の昔だ。
俺のいまは、看守長に仕事があるから来いと言われて、隣のやつに来いと言われて、こうして宇宙に出てきたいまだ、いま歩いてるのが俺のいまだ。
昔ってのは俺のうしろの、焦げたロボの残骸だろう。
昔はいまの前にはこない、置いてきたならもう出てこない。
そうだろう?
「ハッシャシマス。」
そうだろう。
そうだろう、と俺は思う。




