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round - 69
「やれやれ…『開放』と『閉鎖』でどちらもパスコードの入力が必要なのか?実用性に少々の難があるなこれは。開発部も販売部も誰もこれに疑問を持たなかったのか…困ったものだな。」
烟の中から端末片手に出てきた男は穏やかな声で、『製品』の難を指摘している。
「やはりたまにはこうやって現場に出て、実際に製品を使ってみないと気づかないことがあるものだな。改善の余地あり、報告。研修、教育の強化を指示…と。パスコード?まったく、これも必要なのか。」
使い慣れない携帯端末、照れ臭そうに苦戦しながら太い指が画面をタップ。
タッタッタタップ、タッタッタタップ。
「さて…とりあえず『君』の社員コードでのアクセスはブロックさせてもらったよ。『君』の行動には個人的に興味があったんだがね、さすがに『やり過ぎた』。観念したまえ。」
大柄な男の穏やかな声。
「スーパーマンごっこはもう終わりだよ。クラーク・ケントくん。」




