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round - 53
「『耐性』でもついちゃったのかなあ。それとも、生命の危機に直面して本能的に自我を取り戻しちゃったのかな?どうもねえ。催眠術のかかりが浅いようなんだよねえ。」
闇の中。
小太りの影が傀儡と化した、円卓を囲むその他大勢。
僅か14人で全宇宙を裏から支配すると噂される宇宙海賊組織、『フォーティーン』のメンバーを、不可思議そうに撫で回している。
喋るたび。
顎に余った肉がぶつかり、タプタプタプと音がしている。
「どうしたの?いきなりキレるなんてらしくないじゃない。」
「いやあ。はは、どうも。」
闇の中。
大柄な影が照れ臭そうに、頭を掻くよに手をあげる。
その掌に斑のように大きく目立つ古傷ひとつ。
「私は、ですな。こういった、非常の局面で無責任に騒ぎ喚いているだけで自ら行動しない連中というのが我慢できんのです。」
「わかるけどねえ。怒ってもしょうがないじゃん。」
闇の中。
小太りの影が首捻る。




