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round - 5
「いやがらせとしてはこの上なく効果的と言わざるを得ませんな。」
大柄な影の穏やかな声。
「はあ。『ウゼー』ってことかなあ。」
小太りの声の小太りな声。
「こちらの消耗を狙ってやっているとしたら、案の外に侮れない相手かもしれません。」
「そこまで考えてないよ、たぶん。」
数秒沈黙、気まづい空気、時計の秒針チッチと進む。
「で、『不確定要素』って?」
小太りの影は存外しつこい。
首を捻ったその動作、余った肉がたぷんと跳ねる。
「はは。さすが誤魔化せませんなあ。」
大阪な影の穏やかな声。
困ったように首を掻く、その手の甲に斑のように大きく目立つ古傷ひとつ。
「なに?やっぱりよくない企み…?」
小太りの影言い掛けた、言葉途切らせ警報ビー。
敵襲、敵襲、空襲警報。
大柄な影がやや嗤う。
「どうやら『来た』ようですなあ。」
「(うーん、誤魔化されちゃったねえ。)」
小太りの影が小さく揺れる。




