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round - 4
「これは案外、効果的…なのではないですかな?」
大柄な影の穏やかな声。
小太りの影が首捻る音、タプンと肉の揺れる音。
「ですから。件の5人の某くんたちの戦術ですよ。襲撃すると予告しておいてサッパリ来ず、しかし『来ない』ということはまずないのでこちらは警戒を解くわけにもいかない。『いつかは』わからないが確実に『いつかは』来る襲撃のために、日々無駄な労力を割き続けられる。その『いつか』が来る頃には警戒にあたる艦隊だって、とっくに気が抜けていることでしょう。現実問題としてジャスティス合衆国宇宙軍虎の子の衛星軌道艦隊をいつまでも一ヶ所に集中配備しておくわけにもいかない。その隙をついて敵対国がいらんアクションを起こさないとも限らない。」
「敵対国ねえ。共和国とかかなあ。」
「いえ。嫌味を言いたかったわけではなく。」
二つの影に不穏な空気、狸と狸の腹合戦。
含むところのさぐりあい。




