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round - 2
「そうだねえ。まったく問題なく動いてるよねえ、『設備』はねえ。でもさあ。イチバン肝心の『設備』が動いていないというか。まだ届いてすらいないんだけれど。困ったねえ。困ったねえ。」
小太りの影が小太りの声で。
困ったねえ、困ったねえと身体を前後にたぷたぷ揺らす。
タプタプタプと鳴る顎の音、高まる音のトーンとともに、言葉に怒りの色が濃くなる俺たちのことディスってる。
「ディスってはいませんが。しかし…あれだけ万全を期すよう指示を出したのに『設備』マルっと、それこそ積載した宇宙戦艦ごとマルっと一隻奪われるとは…失態、ですなあこれは。」
大柄な影が穏やかな声で宥めるように小太りに言う。
「そうだよねえ、大失態だよ。これがジャスティス合衆国宇宙軍じゃなくて共和国の兵隊だったら、勤務者全員友人知人家族恋人みんなまとめてシベリア送りだよ!」
小太りの影の小太りの声、激高した声高い声。




