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『あ、あー。本日晴天、天気晴浪なれど波木たかし。えー。なにっ。もう繋がっているのかね。もしもし。』
受話器の向こうで厳めしい声。
律儀にマイクテストをする声。
部下にツッコまれでもしたか、『もしもし』こちらへ呼びかける。
それと同時に<SOUND ONLY>。
真っ黒闇の示されていた、正面モニターパッと暗転。
一瞬光の走ったそのあと。
映し出される股間のドアップ。
受話器の向こうの声の主。
壮年男性軍人のものと、おぼしきズボンの股間のドアップ。
一同『これは』と息を飲む。
「わーお。」
止まらない男。
ノンストップ・ラヴェンダーが正直な感想を一言で漏らす。
「『もしもし。』、伊達よ。」
「ビジネスマナー上よろしくない。股間に言っても、ですけど。」
長髪のスナイパー。
ターゲットが憎々しげに吐き捨て、眼鏡のエンジニア。
ラジオコントロールが眼鏡をクイッとやる。




