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「年次をちゃんと今年のものに修正したのも誉めてあげる。その眼鏡は伊達ではないようね?」
はあ。
おめでとうございます。
ニイヤマ課長のお言葉は察するところ皮肉ですが。
ケントは素直に受け取ります。
出てくる言葉はすいません。
オンリーすいません。
「でもなんで、『車輛』の『輛』の字を、わざわざ全部『両』に変えたのかしら。そんなところでオリジナリティを出す必要はないと思うのだけど?」
はあ。
そこにお気づきになられるとはニイヤマ課長もなかなかのものです。
その眼鏡は伊達ではないようですね。
はい。
イッツオンリーすいません。
「…理由を聴いてるんだけど?」
ニイヤマ課長の声のトーンが変わりました。
さすがにいい加減に聴き流しすぎたようです。
割と真面目に怒らせてしまった雰囲気です。
ええ、その方が、読みやすいかと思いまして。
ケントは仕方なく。
すいません以外の言葉を発します。