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「あなた、ねえ…。なにがすいませんなのか、理解してないでしょう?」
ニイヤマ課長はお怒りですが。
社会人は正直に、ありのまま。
はい!わかりません!とも言えませんので。
ケントはここでも、はいすいません。
とりあえず。
なにがなんでも、あいすいません。
すいません。
ニイヤマ課長が画面の中で頭を抱えます。
「…いいかしら?」
眼鏡をクイッとやる眼鏡の才…、才媛。
老若男女。
万国共通の眼鏡しぐさ。
「昨日までの〆切という事はね、あなたが提出したそれを、私が昨日の内にチェックして。必要があれば加筆、訂正、再提出、再チェック。ここまでを昨日の内に終わらせるのが当然なの。それが、昨日の終業時間コンマ1秒ギリギリの、芸術的なタイミングを狙いすまして提出してくるなんて。いったい何があなたにそこまでの情熱を燃やさせたのか、理解しかねるわ。」
ああ、また始まりましたか。
ケントも頭を抱えます。