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東彼方の地平線。
遥か彼方の地平線。
近え彼方の地平の線から今日も目映く朝陽が昇る。
その輝きの金の中、生まれて出づる黒点ひとつ。
ブリブリバオンと怪音を立て地平の果てから此方へ向かう、黒のオバマが向かい来る。
タワケジマ宇宙港。
民間・軍事を問わず宇宙への物資搬出の要を担う国際的な打ち上げ基地の代表格がひとつ。
その重要性から複数国による連合管理が行われており、世界最強を謳われるジャスティス合衆国宇宙軍が
警備を担当している。
守備に立つ衛兵は実力精鋭、銃を抱えたしかめ面。
無機質な彼らの表情が不思議な事態におやと歪む。
本日この場は急遽に軍の、『上』からの指示で行われている。
『最後の』打ち上げ準備に慌た。
作業車・搬入車輌の類いは、幾らも来てもおかしくないが。
あまりのあまりにその場にそぐわぬ。
黒光りするクラシック・カー。
衛兵たちに緊張よりも。
不思議な気持ちが先走る。




