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白残月。
明けの空に居残る月が。
白みはじめた東天に、夜の粒子を散らしてく。
大きいの、ちいさいの。
でこぼこ伸びる不揃い5つの人の影。
5人の視線の集まる先に、人慌ただしい発射基地。
『最後の』打ち上げカウントダウン。
今や遅しと力を溜めて。
今『その時』を待ちわびている。
終わりの始まり、夏未明。
「最早ぐ夜が明けるな。」
長髪のスナイパー。
ターゲットが眩しそうに目を細める。
「夜が明けたなら。どうなるっていうんです?」
眼鏡のエンジニア。
ラジオコントロールが訝しげに眼鏡をクイッとやる。
「何以だ知覧のか?朝になる。」
「そういうことを言ってるんじゃないです。」
十数秒。
僅かに流れる沈黙の時間。
「僕が聞きたいのはあなたが担いできたソレのことです。」
眼鏡のエンジニア。
ラジオコントロールが眼鏡をクイッとやる。




