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「ロングヘアーのスナイパーさん。真面目な眼鏡の会社員さん。ステキなロボットさんに、そうねえ…すぐお腹の減るサイボーグさんもいたかしら?」
妖艶な美女がふふふと笑う。
頭上に浮かべた空想の。
フキダシの中に浮かぶ光景をいと愉しげに眺めつつ。
妖艶な美女がふふふと嗤う。
哀れな対手を嘲け嗤う。
「それ、は、その…一体?」
軍服男は図りかねる意図と、(どこ見てんだ?)という疑問。
つい隠せずに表情に出す。
「『サー!』、は?」
妖艶な美女は視線を戻さず、宙を眺めた姿勢のままに。
不可思議そうに小首を傾げる。
「し、し、し、シッツレイしましたサー!サー!イエッサー、サー!ビッグエッグ・サー!」
軍服男はオモチャのように。
ビクーンと跳びはね伸ばした背筋を。
より一層に精一杯伸ばし、声の限りを張り上げる。
「油断したらダメよ。」
妖艶な美女がふふふと笑う。
その声色は薔薇模様。




