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「宇宙軍衛星軌道防備艦隊司令・ブレックス准将直々にご命令のありました『最後の』打ち上げの準備は滞りなく進んでおり、予定通りの打ち上げを行うことが可能であります、サー!」
軍服の男の隣に立つのは。
この場にそぐわぬ妖艶な美女。
強面の軍人、よほど怖い相手であるのか。
必要以上に背中を伸ばし、格式ばった受け応え。
夜も明けやらぬ闇を裂き、号した声を張りあげる。
「ご苦労様。急だったのにさすがね。あなたの働きっぷりはブレックス准将によしなに伝えておくわ。」
妖艶な美女は小さくウィンク。
その瞳に男の背中が凍る。
「サー・イェッサー!ありがたき幸せ・サー!」
妙齢の。
美女に対する様子としては、いささか固さに過ぎる態度。
目の前にいる対象が。
男にとってどれほど恐怖を抱く相手か現している。
「それじゃあ私は一足お先、『次の』シャトルで宇宙に向かうわね?」
その声色は薔薇模様。




