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『昨晩、オイストリッヒ社社長邸宅にミサイルを撃ち込むなどして甚大な被害をもたらしたギャングの一団に対し、軍の投入が決定されたとの声明が発表されました。政府は早急な事態の沈静に努めるとともに関係各国への状況説明と対応を…。』
罵風、と口に含んだコーヒーを噴射する。
やばい。
馬鹿共のことを完全に忘れていた。
画面の中ではミサイルの本来の持ち主と思われる各国首脳が、見るからに渋い顔で一言を発している。
いかん。
早急にあの馬鹿共を止めないと、真面目に第八次宇宙大戦が勃発しかねない状況になりつつある。
慌てて身仕度し、オバマのキーを引っ掴む。
蛇螺。
鏡台の上にあった何かが床に落ちる感触。
見覚えのない銀の胸飾。
忘れ物か?
…困ったお姫様さんだ。
上着の胸ポケットに入れ、男は戦場へと帰る。