110/1502
2 - 63
秋の日の朝は遅い。
冬に向かい、気温が低下がれば尚の事。
天高く昇った太陽、その眩しさに目を覚ます。
身体に心地よい倦怠感。
危険な逢瀬の翌朝、 安寧の一時。
平穏とは程遠い男の。
平穏な朝、日常の始まり。
寝床には既に魅惑の美女の姿はなく。
俯と、眼につく卓台の上の紙片。
『Une voiture.』
素気ない置き手紙。
時刻は既に正午に近く。
成程ね、と苦笑を漏らす。
観賞るともなしにテレビを点ける。
平穏とは程遠い男の。
身体に染付いた朝の固定作業。
朝の。
否。
昼の娯楽番組は相変わらずに下らなく、今日も世界が平和で在る事実を報道え『臨時ニュースです。』
お、緊急事態か。
何事だ。