108/1502
2 - 61
疾走るオバマ、夜の高速道。
「…どうして?」
暫し続いた沈黙を破り。
視線を窓に向けたまま、助手席の美女が口を開く。
ンー。
考えたのは。
理由が即座に思い浮かばなかったから。
そうしたいと感じたから、そうした。
そして、あんたがそれに乗った。
それだけのことだが。
そうだな。
強いて、言うなら。
あんたがどんな顔をしているか、ちょっと見てみたかった。
「馬鹿ね。」
美女が呆れたように言う。
ああ、間違いないな。
苦笑しつつ応える。
「…やっぱり貴方、私が見込んだ通りの男だわ。」
皮肉とおぼしき美女の言葉。
好色そうに見えたか。
お道化てみせて応える。
疾走るオバマ、夜の高速道。
密室の中。
近い様で、遠い二人。
「…とても色男だわ。」
空気が少し、柔らいだ気がした。