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闇の底、肉食獣の光る瞳。
オバマのヘッド・ランプが灯る。
ブゥゥゥゥウウウウ!
ビバッ!ブリッ!ブボッ!
ブゥゥゥゥウウウウ!
低音から高音へと駆け上がる、弾ける鼓動のシンフォニー。
ブボォン!
爆ぜるような轟音一閃。
解き放たれる黒い銃弾。
闇から出でて、闇より黒し。
漆黒のオバマが跳び出してきた。
「ヒャー!!」
仲良く並んで尻餅をつき、ひっくり返る変な男、太った男。
意に介さず。
愉快な二人の前を疾り過ぎる黒き弾丸。
炎と、闇の彼方に消えてゆくかに思えたそれは、突如ピタリと急停止。
来た途を後進で真っ直ぐに戻り、美女の手前でピタリと停まる。
促すように開く助手席。
「ごめんなさいね。」
誰とはなく告げると。
美女はオバマに乗り込み、ドアーを閉じる。
不敵な美女を飲み込んだオバマは今度こそ、一直線に。
炎と、闇の彼方へ消えていった。