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「ボスマケナイデ!ボスモースコシ!サァインドマデ、ハシリヌケテ!」
戦場さながらの惨状の庭園。
ドスンドスンと鈍い足音。
それを励ます変な歌声。
太った男がふぅふぅ走り、変な男が騒ぎたて、薄着の美女がそれに続く。
チンドン屋と見紛う珍道中も、どうにか目的地のガレージへ到着しつつあるようだ。
「ナッ!ナンジャアアリャア!?」
変な男が変な叫びを上げる。
見るからに頑丈な石造りの車庫。
その重い鉄扉が粉々に吹き飛ばされ、大きな風穴が空けられている。
ポカーンと立ち尽くす変な男と太った男。
「(ミサイルはこの為の陽動…?してやられた…と、いうよりはむしろ、好き勝手やってるだけな気がするけど…?)」
美女はむぅと眉をしかめる。
穴蔵の闇、その深奥から。
キュルルル、キュルルル、と擦るような音。
次いでブウッ!ブリブリブリ!ブリブリブリブリ!と唸るエンジン。
太った男と変な男は顔を見合わせる。