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「え?彼がぁ?ぇえぇ?」
小太りの影がタプタプタプと、嘲笑うように顎肉を鳴らす。
「ないよ。だってこの彼はねえ、僕がサイボーグ部隊を作った時からなんでいるのかすらよくわからない、劣等生オブ劣等生の落ちこぼれ担当大臣でねえ。うっかり戦争で生き残らせちゃって、せっかくだから人体実験に使ったら、うっかり成功して生き残っちゃって。そもそも僕に言われたことをやるだけで精一杯の、馬鹿のお馬鹿の終身刑なんだから。自分の考えなんて持ってないし、何かやろうなんて意思もないし、その上実験の副作用で常時ラリってアイスクリーム売るようになっちゃったしねえ。それが何かを企むなんて、ないよないない、心配しすぎ。だよ、ねえ?ベンダー君。」
「アイスクリームう。」
言葉が通じているのかいぬのか。
痩せた影が相
槌を打つ。
「…だといいんですが。」
大柄な影から穏やかな声、その視線。
懐疑的な光が消えることはない。




