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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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月 3

 人の頭ほどある鉄塊がレイショウのそばを通り過ぎ、ジュンセイが床をめくりあげ作った防壁に当たって激しい火花と音を立てる。


「どうして、あんたは私たちを攻撃できる!?」

「教えるわけないじゃん! 私は彼を狙って攻撃しているだけで後ろにいるあなたたちには攻撃していないよ!」


 二発三発と槌を振り達磨落としのように崩れてくる建物の瓦礫の破片を打ちだし、それを砲弾へと変えるアトランティカ。

 距離を取って攻撃するアトランティカに対してレイショウも鉈を納め弓を作る。


「アルケミストでもない他人にこの力を渡すなんていけない奴」

「お前が敵対しなければジークルーンが苦しむことはなかった」


 強化された身体能力で弓を引き絞り放つ。

 レイショウの放った矢を飛び跳ねて回避しアトランティカは笑う。


「容赦なく殺しに来るね?」

「こっちは加減できない、守るものがあるから」


 地面を抉るように槌を振り、抉った破片が散弾のように飛ぶ。

 ジュンセイの鎖とユウセイの即席の防壁に守られ回避するレイショウ。


「私たちにもあったんだよ守るもの、あんただけ特別なものを抱えていると思うなよ?」


 多少の被弾はすぐに銀色の瘡蓋となり痛みも消える。

 レイショウの弓を回避しアトランティカはまた大きく距離を取り、レイショウからの弓の攻撃を受けないように建物の陰に隠れた。


「はぁ、数が多いのも厄介ですね」

「余裕がなくなってきたか? ふざけた口調じゃなくなったな」


「ぴょん!」


 物陰に隠れながらアトランティカは砲塔を作ろうとするが、それはユウセイとスイセイの作った大砲に破壊される。


「こっちの方がナノマシンを操るアルケミストが多いんだ、作るのに時間がかかるものは誰かが対処する」


 物陰に隠れているアトランティカにレイショウが距離を詰め、彼の足音に気が付き接近され鉈で斬られると思いまた大きく飛んだ。

 しかし物陰から現れたレイショウの持つ武器は弓。


「しまった!」


 それに気が付つくがすでに遅く持っていた槌を、落下を無理やり方向転換させるためのワイヤーに変える前に飛んできた矢に体を貫かれる。

 矢を受けたアトランティカは悲痛な表情を浮かべ、弓を当てたレイショウは当ててしまったことに顔を歪ませた。


「カフッ……」

「そんな薄着で戦おうとするからだ。ここはナノマシンでできているんだろ、もっと厚着もできたのに」


 伸ばした鎖が無情に彼女の体を振り回し地面に叩きつける。

 彼女は刺された腹を押さえ着地に失敗し床を転がり地面に赤いシミを残す。

 立ち上がろうにも傷は深く痛みで悶える。


「……降参しろ、大怪我は治せないんだろ」

「人間に、負けたことは、なかったのに……」


「まだ助かるかもしれない。降参してくれ、ジークルーンが悲しむ」

「ははっ、ウサギ、は……ひとりが、孤独がきらいで、ね……一緒に……」


 攻撃に警戒し少し距離を取った場所で様子をうかがうレイショウ。

 そこへジュンセイやユウセイたちもやってきて、倒れるアトランティカを取り押さえる。


「怪我人だぞ、そこまでしなくても」

「こんな状態でもナノマシンを扱うことはできるさ、気を失わせない限りはね。あんた私をぶっ飛ばした割に優しいこと言うね」


「お前は挑発してきたからだろ」


 流れるような動作でユウセイが薬品を取り出し無言でアトランティカに投与そいた。

 それに気が付きアトランティカは暴れようするが弱っていて抵抗する間もなく投与され、次第におとなしくなっていく。


「何した」

「怖い顔しないでくれよ、ただの睡眠薬さとはいえ異物は体内のナノマシンが除去するから対して時間も稼げない」


「なぁ、こいつを助けられるか?」

「きれいに刺さっているし、返しもなく毒も塗っていない。塞ごうと思えば大丈夫だけど、この程度ならなんでアトランティカは自分で治さない? 頭を打ったか?」


「アトランティカってミカドを殺した奴と同じ名前だけど、どういうことだ?」

「私たち姉妹のシリーズの名前だよ、苗字みたいなもの。ユウセイやジークルーンだって、アケボシ、アインホルンとあるだろう、他に何人もいるよ。昔は姿形も同じだったけど今は他者と結ばれ他人の血がはいっているから姿形は別人さ」


「アルケミストってのは名前がややこしいな」

「アルケミストってより外の国の名前だからね、国際交流の失われた今はそうもなるか」


 ハジメと一緒に後ろで守られていたジークルーンが寄ってくる。

 レイショウの腕から白銀の籠手が消えナノマシンの制御を取り戻すと、ジークルーンが刺さった矢を消滅させアトランティカの傷を塞ぐ。


「すみませんレイショウさん。戦闘ありがとうございました」


 突然レイショウたちの足場が消える。

 見れば倒れたアトランティカを中心に大穴が開いていて下の層へと続いていた。

 地面に落ち倒れたときから作り始めていただろう、周囲にいたジュンセイたちを巻き込むほどの大きさの穴。


「ぴょーん……」

「意識失ったと思ったのに、まだ動けたのか!」


 ユウセイたちアルケミストたちは足元を近場の地面に固定し、ジュンセイが鎖を伸ばしアンジェリカとともに落ちていくレイショウを捉える。


「うまく引っかかっただけだ落ちる前に鎖をつかめ、レイショウ!」


 鉈を持つ腕に鎖にまかれジュンセイたちの元へと引き寄せられるレイショウは上に、暗闇に落ちていくアトランティカに手を伸ばす。


「あはは……」

「……くそっ」


 鎖を握ったレイショウがジュンセイとジークルーンが引き寄せる。

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