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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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駆ける星 2

 

 一定の高度まで上がると落下物は消え、次第に青かった空は暗くなっていき藍色に変わっていく。

 クラールブルーメの船体は裏返りモニターの下側に見えていた地上が皆の頭上に来る。


 補助ブースターが切り離され、燃料を使い切ったブースターは地上めがけて落ちていった。

 モニターで切り離され地上へと落ちていくブースターを見届け、ジュンセイとユウセイの報告を聞きながらジークルーンはふとレイショウたちに話しかける。


「レイショウさんハジメさん、大丈夫ですか?」

「ああ、知らないことばかりで新鮮な経験だった。ハジメは途中で寝たよ」


「緊張が切れたのかもしれません。もう、しばらくは攻撃を躱す必要もないでしょう。もうすぐ、重力から離れますそうすればシートベルトを外しても構いませんので、休みたければ部屋に向かってください。時間がなく無重力を体験させられませんでしたが、何とかして慣れてください」

「何を言ってるかわからないが、わかった」


 常に空に浮かび見えていた星の輪がモニターに映った。

 地上からだと薄く白い帯状の物だったものが、地上を離れこの高さまで上がると大小無数の金属塊が太陽の光を浴び白く輝くのがわかる。

 天翔艦と月の船の慣れの果てである無数のデブリ。


「あの中には見慣れない船のありますね」

「月の船とジークルーンが眠っている間に就航した子らの船だね、性能は今のこの船と同じくらい」


「100年たっているのにですか?」

「戦争が終わり、彼女らの反乱で技術が止まったからね。敵を倒す火力ばかり強くなっていって装甲はあまり進化しなかったから撃ち合いになればお互いどっこいどっこいさ。とはいえこっちには生きているアルケミストがいるわけだから破損個所の修復とかできるから一対一で戦えば勝てるけど」


「敵は多数を操れる、一隻で来るのは無謀でしたか」

「勘違いしてるね、同じくらいの性能というのは天翔戦艦や月の戦艦との話だよ。とはいえ数はやっぱりネックだ、こちらの修復速度を超えられたら終わる」


 ごつんと艦内に音が響く。


「何の音です?」

「クラールブルーメの船体にデブリが当たる音だよ、星の周りには無数に漂っているからね」


「デブリに気を付けてください」

「小さなデブリ程度なら装甲で防げる、大きいのは地上に落ちたかあの輪に加わっていてそんなにないよ。何なら金属だからナノマシンとして吸収できてありがたい」


「戦闘経験者のアルケミストが多くて心強いです」

「さて無事に空の上、無事に死の空間についた。月まで大体8時間。何もなければいいけど、そんなたわごとも言ってられない。月の表面が間近に見えるまでここから離れられないだろうね」


「星の周りを一周して月に向かう、でいいんですよね」

「ああ、引力を振り切るため加速しないと燃料が持たない。無数のデブリでできた輪を避けるため少し時間がかかるけど。軽食くらいは食べられるか」


 しばらくし揺れが収まり天翔艦の航行が安定する。

 ジュンセイやスイセイはモニターに映る懐かしい景色を見て動きが止まっていた。


「ユウセイ、攻撃をしてくる船や砲台は?」

「いないね。どうやら、動く砲台も撃ち落としたあれ一つだったようだ。向かってくる船もなし、残った推進剤で星に落下し翼で角度を取りながら落下地点に向かうのと違ってここじゃ推進剤がなければ体当たり一つできないからね。……疲れた私は部屋に戻るよ、すぐ別の私が来る」


「便利ですね……自分はそうなりたいとは思いませんけども」

「本当なら船の操舵、全部私でできるけどそしたらジュンセイたちが付いてくる意味がないからやらないよ。私が楽するために私たちがいるんだから」


 シートベルトを外しユウセイが無重力となった船体をふらりと移動し指揮所を後にした。

 ジークルーンも席から立ち上がり始めての無重力を味わいながらレイショウのもとへと向かう。


「レイショウさんハジメさん、今はひとまず大丈夫なようです。ハーネスを外してもいいですよ、ずっと揺れていましたけど気分は悪くないですか?」

「ハーネスってこのシートベルトみたいなやつか? 窮屈だったから体をのばしたい」


 立ち上がると体がふらりと浮いたことに驚くレイショウ。


「ふぅ、なんか体が変な感じなんだ。体が!?」


 ジークルーンが彼の手を取ってバランスを取らせる。


「重力がない状態ですからね、今日中には月に付きますそれまで休んでいてください。お腹がすいたらユウセイが作ってくれたパックの食事がありますからそれを食べてください」

「つっても、数時間前に目が覚めたばかりだ。ハジメは寝ちまったけど。ジークルーンは休まないのか?」


「いつ戦闘になってもいいように自分はここから動けません。自分はここで指揮をとらねばなりませんから」

「そうなのか。ずっと座りっぱなしだったし少し体を動かしてくるよ。後この状態にもなれたい」


「ええ、何かあれば呼び戻します。船内が激しく揺れる可能性があるので、警報が鳴ったら安全なここにすぐに戻ってきてください」

「わかった」

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