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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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放たれる弓 4

 

 4人が見ているクラールブルーメの奥に、もう一つ影があったのを見つけレイショウは尋ねる。

 レイショウたちが見ていた天翔艦の後ろにもう一つ。

 横倒しになった4本の巨大な円柱に大きな翼。


「奥にもう一つ大きいのが見えるな、空にはあれと奥のの二つで行くのか?」

「奥の一つは補助ブースターだよ、工場から持ってきた燃料をいれ天翔艦を宇宙まで押し上げるもの。途中で廃棄するが再利用するため海上への着水できる能力を持っている、とはいえ大きなものだから回収に時間がかかりその間に沈められることも多かったが、今回は使い捨てる。ナノマシンが惜しいがね」


「空に上がるとあんたたちは気軽に言っていたけど、大変なんだな」

「そうだよ、こんな破壊しかしない鉄塊を空に打ち上げるのは大変なんだ。さて、ここにいてもあれを見下ろすことしかできないし、私らもあのジークルーンの天翔艦に上がるとしよう」


 エレベータの最下層、天翔艦の格納庫。

 工場の地下から延びているパイプや電線が天翔艦の方向へと延びており、辺りにはユウセイが持ち込んだナノマシンが立方体の塊として置かれている。

 格納庫では仕事を終えた何人ものユウセイたちが折り重なるようにして眠っていた。

 ハジメが初めて見た天翔艦の方向へと目を輝かせてかけていく。


「おっきい!」

「はい、これでも天翔戦艦と比べれば小さい方ですが自分の船です」


「かっこいいね!」

「ありがとうございます、ハジメさん」


 ハジメを追いかけ天翔艦へと近づいていくジークルーン。

 そしてジークルーンは水を飲んで休んでいるユウセイに話しかけた。


「お疲れ様ですユウセイ」

「本当にね、設計と作ってみるのでは図面になかった問題が起きるときがある。何日その調整に使ったか」


「ちゃんと飛びますよね。自分の天翔艦を壊されたのであれば怒りますよ?」

「そこは問題ないよ、問題なのは装甲。改良型とはいえ限界がある、後期の月の船が相手では厳しいかもだ、それに飛び立った瞬間も気をつけなければならないし」


「何がですか」

「おそらく、天翔艦が飛び立った瞬間迎撃する準備はできているんだろう」


「してきますかね?」

「私の工場のあった位置に二十四基のクレーンで釣り上げている砲身の大砲。スターダストバスターを組み立てる予定だ。とはいえ月はいつでも攻撃できる状態で、砲身の冷却を待って数発撃つ機会があるかわからないけど、ないよりは安全に空に行けるだろう」


「そんな兵器は自分がいたころにはありませんでした」

「あったよ、星じゃなくて月にだけどね。前は星のあちこちにあった月の艦隊が星に迫った時の防衛用の大砲さ。少なくとも船落としと衛星砲台なら落とせるはず」


「大きなものを作るのには時間がかかりますよね」

「トンネルを掘るのと並行して作って、今も私たちが作っている。当日は全員で天井を解体し床をせり上げる。うれしいことにシェルターは地下深くだったが、地上が何度も船を落とされたおかげでクレーターですり鉢状になっているからな、そこまでの労力もかからない」


「当日はユウセイの工場のほうへ飛べば守ってもらえるということですか?」

「そういうことだ、というより射出向きてきに近くは通るよ」


「ですがナノマシンで作ったということは地下の構造物を使ったということ、工場のあった場所の地下の機能は低下したのでは?」

「ああ、もう増産した発電機以外はほとんどあの地下は機能を維持はしていない。月に向かいジークルーンが勝てばいい、そうすればもう鬼の管理施設としての機能はいらなくなるからね」


「わかりました」


 ジークルーンと一緒にいたハジメが、休んでいたユウセイに捕まり抱き上げられていた。

 ただ遊ばれているようなので放置して置き話していたユウセイに向き直る。

 管制室でエレベーターを降りたレイショウたちが合流してくる。


「どこから中に入るんだ」

「こちらです、すでに食糧や日用品は積み込まれたそうなので月に向かうまでずっと天翔艦の中で過ごしてもらいます。閉鎖された空間が苦手だというなら早めに言ってください」


 艦内は静かで扉が閉まると外の音が聞こえなくなり六角形の通路を歩く足音だけが響く。


「人が居ないとこの通路も広く感じますね」

「外から見ると大きい羽根で大きく見えていても居住スペースは狭いからね」


 通路の床を見て長年放置されていて降り積もった埃がなくなっていることに気が付いたジークルーンはユウセイを見た。


「ここも掃除してくれたんですねユウセイ」

「もちろん、作業していた私が余ったからね。体動かすついでだよ、あと埃っぽいのが嫌だったんだ」


「ありがとうございます」

「別にいいよ、私も乗るんだ埃っぽいのが嫌だっただけさ」


 天翔艦の中に入り細い通路を進みレイショウを見て部屋の扉を開ける。

 部屋の中には最低限人が動きまわれるスペースと、パイプのベットが4つ部屋の壁に張り付いていた。


「乗員の寝所です、レイショウさんたちはここを使ってください。人が少ないですから一人一部屋でも余るはずです」

「ベットしかないな」


「ええ、戦いに使うものなのでそれに必要のないものは取り払われた簡素的なものです。何か必要なものがあったら今のうちに行ってください。シャワー室はあとで案内します、使い方も教えておかないと溺死してしまいますし」

「溺死?」


「あとで他の場所を案内するときに話します、とりあえずレイショウさんたちはここで休んでいてください」

「わかった」


 ジークルーンは指令室を見回す。

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