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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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放たれる弓 3

 

 隠してはいるが腰巻は完全には覆っておらず、ぴったりとしたスーツが腰のくびれや股のあたりをくっきりと浮きだたせているのでレイショウは耳を赤くさせて視線を上にあげていた。

 そんなやり取りを見ていたジュンセイとユウセイ。


「なんだ、ジークルーン以外にもアルケミストの裸は見ているだろ、もう見慣れたもんじゃないの? この時代にしては初心な子だ」

「工場を訪れで私と会ったときはこの服装だったろう? まぁいいや。ほれほれ、少しめくり上げるだけで胸や尻のラインが見れるぞ、えっちだろ? そもそもこの姿は、裸よりそそるものが……」


「やめて、ユウセイ。私たちの正装を汚さないで」

「もうとっくに血で汚れているだろう」


 ジュンセイとユウセイが茶々を入れるのを聞きながらジークルーンはレイショウの方へと歩み寄る。


「空に上がる以上、レイショウさんとハジメさんにもこれと同じものを着てもらいます」

「え!?」


 ジークルーンに手を握られながら言われた一言を聞いてレイショウは後退りする。

 体のラインがくっきりと浮き出るスーツ、自分がそれをきたところを想像し身震いした。


「まっ、待ってくれ、俺もそのぴっちりしたものを!?」

「大丈夫です、レイショウさんたちには上から着る服も用意しますから」


「だったらジークルーンたちもそれを来てくれよ……」

「これが正装なので、とりあえず服を脱いでください。採寸しながらスーツを作っていきますので」


「なら、せめてジークルーンじゃないやつでお願いしたい」

「なぜです?」


 嫌がるレイショウに服を脱いでもらいユウセイとジュンセイがナノマシンを体に纏わせ伸縮性のある生地に変える。

 あっという間にジークルーンたちと同じ体にぴったりとあうスーツに着替え、さらに上から着るための月との戦争時の軍服を作り出しレイショウに渡す。

 暗い宇宙でも目立つ白色、黄色、橙色で作られた軍服。

 急いでその軍服を受け取り着替えるレイショウ。


「あと船外に出てしまった時様に宇宙服も着させた方がいいんじゃないですか?」

「救助艇なんかないし、餓死して死ぬまで漂い続けるのは嫌じゃない?」


 レイショウとハジメの着替えが終わると村を離れる準備を始める。

 体に張り付くような素材に落ち着かない二人。

 ジークルーンは集まった皆を見回す。


「では、準備が出来ました……。行きましょう、明日の朝出立になりますから、午後からは自分の天翔艦、キルシュブリューテに乗っていてもらいます」

「ジークルーン、あなたの天翔艦は私が改良しただろう。改装ではない今は完全に型が変わった。作り替えた」


「では、なんて言いましょう?」

「そうだね、私やジュンセイ、途中からスイセイにも手伝ってもらった。クラールブルーメ、花束と名付けるのはどうだろう」


「そうですね。もう、自分の船は別のものになったんでしたね」

「あなたは今の時代に目覚め、天翔艦も蘇った。生まれ変わったと思えばいいのさ」


「そうですね、いいでしょうクラールブルーメ。みんなが手伝ってくれたんですもの。いい名前だと思います」

「少し残念そうな声だね、根付けてもらった名前を変えられるのが嫌だった?」


「いいえ、いいんです。大戦時とは役目が違います、この船は生まれ変わったんです」


 そんな二人を連れアルケミストたちは地下トンネルを歩き天翔艦のある格納庫へと向かう。

 掘削機で掘り、コンクリートで固められた通路。

 電機は置かれておらずライトの明かりが暗闇を照らす。


「準備は出来ているけど、最終調整をもう少しやらせてほしい。何せ飛び立つのは一度きりだ、私たちなら飛びながらでも改良と修繕が行えるが、それでも……」

「わかりました。お願いしますユウセイ」


 暗いトンネルを通過すると小部屋ほどの広い空間に出た。

 そこから少し移動し通路の奥にあったエレベーターに乗り下へ通りていく。


 エレベーターで管制室に降りると天翔艦が見下ろせる場所にジュンセイとレイショウが立つ。

 下方に見えるのはこれからジークルーンたちを乗せ空の果てへと向かう船、天翔艦。

 下に管制室で降りなかったジークルーンとハジメが天翔艦へと近寄っていく姿が見える。


「これが、全体か。鳥が羽を広げてあるみたいで大きいな」

「ジークルーンアインホルンの天翔艦、キルシュブリューテ。……今は違うなクラールブルーメ、月と戦うための航宙艦だったものは月へと向かうための物へと変わった」


「こんな大きなものが空を飛ぶのか?」

「空だけでなく空の向こうまでね」


「すごいな、大昔はこれがたくさんあったのか」

「初期から末期までかけて作られた天翔艦は3000隻程度だよ。前半は撃沈、後半は建造中で、常に空の上にいたのは増減があれど大体800隻ほど」


「そんなに、このでかいのが飛び回ってぶつからなかったのか?」

「国ごとに言葉が違うから意思の疎通をしっかりさせるために同じ言葉圏の者同士で艦隊を組んでいたね」


 二人の横にスイセイとユウセイが並ぶ。


「でもそれも昔の話、この国の天翔艦とは細部が異なるけど懐かしい型だ。統一規格で作られていたから細部は違えどシルエットは同じだ。こうしてまた、天翔艦を見る機会があるなんて思ってもみなかった」

「司令官は混乱を避けるため一人だったけど、どこかの国だけが主導とならぬよう数か月ごとに変わっていって作戦に一貫性がなかったね、作戦がころころ変わってあれでなくて済んだはずの被害がどれだけ出たことか。私は後半しか戦闘に参加しなかったけどそれでも大変だったねぇ」


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