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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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放たれる弓 2

『こんなことに何の意味があるんだゲッカ! 先に地上へと帰ったアルケミストたちは私たちが放った鬼と何も知らずに戦っている、傷ついている!』

『二度と争いを起こさせないため、我々が正しく管理する必要がある。彼女らには人類の救済役を演じてもらいたい。そのためにも彼女らにいは何も知らないほうが都合がいい。大丈夫この騒動が落ち着いたら皆に伝えるよ』


『人殺しが終わり、私たちは破壊する側から未来を作り出す側に回るんじゃないなかったのか!』

『ああ、これが本当に最後の人殺しだよ。いい子だから従ってくれ私の姉妹ユウセイ』


 ユウセイと呼ばれた女性はモニターを睨みつけなおも苛立った声で尋ねた。


『最後の戦い、最後の戦争、人類の救済、あと何人、殺せば争いは終わる? 私は、私たちは人を守るために生まれたのではなかったのか? なあ、我々は多くの人の笑顔のために戦っていたのではないの、か?』

『放っておけば彼らは彼ら自身で星を壊す。そうならないように我々が正しく導くんだ。これは必要なことだよ、私たち弩級天翔戦艦であるアケボシシリーズの私たちしかできないことだ』


『納得ができない! 星の指揮官たちは、最後に何と! 何があんたをあんたたちを狂気に駆り立てた!』

『……次の戦いに備えて待機せよ』


『次? それがあなたたちが反旗を翻したトリガーに?』

『そうさ……戦いが終わっての最初の指令。でも、もう、次の戦いなど起きないけどね』


 頭痛がしてしゃがみこんでいたレイショウは気が付くと、すぐそばに心配そうに顔を覗き込むユウセイが立っていた。

 彼女は頭を掻き気怠そうな目をレイショウ見下ろす。


「急にしゃがみこんで、大丈夫か? 声かけても反応はないから驚いたが、頭の痛みは引いたか? 他の私が今ジュンセイを連れてくる、ジークルーンだと無駄に大げさに騒ぐからね」

「なんでもない、少しふらついただけだ放っておいてくれ」


「血がつながっていない私でない誰かに記憶を、部分的に移すなんてことをしてみたの初めてだったからね。不具合かもね」

「あんたなぁ」


 やってきたジュンセイに、記憶の混濁、部分的な記憶障害、最悪自分の記憶が壊れ廃人になるかもしれないと、簡易的な記憶転写の危険性を呆れと苛立ちの混じった声でユウセイとレイショウは怒られる。



 破壊された基地のはるか下にある地下格納庫。

 ジークルーンの天翔艦に燃料を補給しているのを見ていたユウセイに、エデンガーデン解いたときと同じ赤と黄色の服を着こんだスイセイがやってきて尋ねる。


「まとめてやられてしまうリスクに備え、月に向かう船は分散して二つに分けたりはしないのですか?」


 ユウセイは気怠そうな目だけをぐるりと向けスイセイの方に向く。


「私の持つ燃料は余っているけど、さすがに二隻分を空に挙げる量はないね。ジークルーンの天翔艦一隻飛ばすのでやっとだよ、衛星砲台からの攻撃を考え装甲も強化したいそうなると重量が重くなり消費する燃料の量が増えたからね。一緒に来るなら一緒の船だ」

「構わない、月にいる皆と話がしたいんだ。どうして私たちを裏切ったのか」


「ああ、私もそれが聞きたいよ」


 それきり無言になり二人は準備の進んでいく天翔艦を見た。



 村の空き地にジークルーンがレイショウとハジメを呼び出す。


「話があるって?」

「はい、大事な話です。レイショウさんたちも自分と一緒に空に来てください」


「てっきり、またついてくるなと言われるとばかり」

「いいえ、今回は間違いなく安全な場所ではありません。それと……自分は、レイショウさんを徴兵したいです。一緒に戦ってもらえませんか?」


「ジークルーンにそんなことを言われる日が来るなんてな」

「今回の戦う相手は鬼ではありません自分と同じアルケミストです。自分は同じアルケミストを傷つけることができません。戦闘になる場合……その……」


「間違った仲間を止めればいいんだな」

「……はい。頼めますか」


「ああ、もちろん手伝う。……選択も時間もなかったミカドは必死になって俺を助けてくれたけど、俺は覚悟を持って行かないといけないんだな」

「すみません、自分が背負う罪を背負わせることになると思います。そうならないようにできる限りを尽くしますが……」


「ハジメもつれて」

「ええ、ユウセイたちも一緒に来てくれるそうなので、ここに一人残すことになってしまいます。もちろん戦闘には出ません、自分の天翔艦を守る防衛組に預ける予定ですから安心してください」



 100年前の戦争時ではアルケミストたちが来ていた戦闘服、体のラインがくっきり浮き出る黄色い線の入った黒いタイツ姿に、金属っぽい胸当てと腰巻をまいた姿。

 いつもと変わった彼女たちの姿にレイショウとハジメが戸惑う。


「どうしたんだ、その服? またそのなんだ……ぴっちりとして裸みたいな恰好で」

「宇宙に上がるには、動きやすい服装になる必要があります。こう見えてもこれは耐Gスーツと同じで強度もあり多少の衝撃吸収能力もあるんです」

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