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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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準備と修復 3

 

「ナノマシンは扱えないからあんたたちと同じで身体強化しか使えないお荷物だ。並の人間なら相手できるけど私らのようなアルケミスト相手なら弱いと侮られない限り勝てないよ」

「あいつはあの魔法みたいなものは使えないのか?」


「今はね、複数のユウセイが自由にナノマシンを扱うことができたのは使い終わったら権限の移譲で別のユウセイが使っていたから。あんたがユウセイとの戦闘でジークルーンからひと時借りたあの力と一緒だよ。こめかみに埋め込まれている通信デバイスの個々人でできる通信距離から離れてしまえば権限の移譲できない、だから今はジークルーンと一緒に出て行ったユウセイだけがナノマシンを自由に扱える」

「なら今戦えばあいつ簡単に勝てるのか?」


「ナノマシンで身体能力の強化という対等の条件なら、力の差はあまりない。運動不足で筋トレもしていないユウセイなら体術も大した脅威じゃないだろうし、素手でも勝てると思うよ。関心はしないけど」

「聞いてみただけだよ。アイツ大勢いるし、数で来られたら勝てないだろ」


「……どうかな、ナノマシンで補強された君の鉈をもって本気でユウセイを掃討する気なら多分勝てるよ。君の殺意の圧は強い。この村に住んでいた村の皆の復習、戦争を経験した私は少し目を瞑ることもできる」

「一緒に戦った仲間なんだろ」


「あいつは人を守りたかった私らを裏切った。100年前は同じ方向を見ていたとしても今は別人、私にアルケミスト同士が争ってはいけないという縛りがなかったらどうだったんだろ。だから私は止めないし、ジークルーンの説得も手伝うよ」

「しないよ、あいつだってやらされていたんだろ。それに、俺と戦ってやられてもへらへらしててあいつは苦手だ」


「そういう風に行き着いたか」

「ま、実際そうなっても何人かは隠れてやり過ごしてそうだけどね」


「空に上がって一番上の元凶もとに行くならそいつを倒す……どんな奴か知らないけどたぶんそいつは許せないと思う」

「空……月までついてくる気なんだ」


「ああ、断られてもついていく」

「なら、ジークルーンのことを任せるよ。向こうに行ったら彼女たちは何らかの方法でこちらを害してくる、そのとき守れるのはあんただけかもしれないから」


「やっぱり戦いになるのか?」

「そのための準備を、今してるんだよ」


 ジュンセイたちはバリケードのある入口の前から家のほうへと歩いていく。



 歩行バイクで30分ほど走りジークルーンたちは基地があった場所へとたどり着く。

 直撃はしていなかったが空から落とされた落下物の影響で、建物は崩れ入口は埋もれてしまっていて二人は瓦礫をどけて地下へと降りていった。


 前にレイショウが探索し下りられなかったエレベーターを電源を回復させ降りると大きなガラスの窓に囲まれた管制室へとたどり着く。

 モニターにキーボード、通信機器や書類束などが当時のまま残っていた。

 暗い室内を照らしユウセイはナノマシンで天井をめくりあげいくつかのケーブルを手繰りよけると電源を復旧させる。


 明かりがつけば埃と蜘蛛の巣に覆われた機材の先に汚れたガラス窓が見えジークルーンは積もった埃を指先でなでた。


「あ~あ、ここも埃っぽいな。でも地下二キロの位置にあるだけあって、地上の影響を受けていないように見える」

「ですね、でも掃除が必要です……」


「手伝ってくれ、キャスターに乗せたとはいえ発電機が重い」

「ああ、手伝います燃料が入っていたら変化させることもできませんからね。持ってきた歩行バイクを発電機に変えて天翔艦の燃料で発電するとは思いませんでした」


「帰りは二人乗りだ」

「かまいませんよ」


 天井から伸びるケーブルが何本もついた大型の発電機の乗ったキャスターを押しユウセイとジークルーンは管制室の中央へと移動する。


「今度はここの外に電気を供給する。すべてを照らさず明かりの場所を絞っても十五分程度が限界だろうけどね。自分の船の全体をみたいだろ」

「わかりました、すばやく確認を済ませましょう。あ……あれ、ですかね、自分の……」


 蜘蛛の巣を払い部屋の奥へと進んでいきジークルーンはガラスを磨く。

 地上の攻撃を受けても損傷の見られない窓の奥の広がる暗い空間。

 その奥にぼやっと浮かぶ建造物の輪郭。


「ありました、自分の天翔艦。最後に見たときはきれいだったんですけど。埃をひどくかぶっているようです」

「今明かりをつけるよ」


 ブレーカーを探し発電機とつなぎ明かりをつけると、広い空間に一つ多くの埃をかぶった宇宙船が照らし出される。


「やっぱり! 白くきれいな船体なのに」

「この100年ですっかり埃をかぶって茶色く染まっているね、ジークルーン・アインホルンの天翔艦、星内国家連合軍所属アインホルン型キルシュブリューテ」


「名前を呼ばれるとぞわぞわします」

「あんたは100年前のアルケミストだからね、自分の船は体の一部みたいなものだろう」


「自分たちは天翔艦を動かすための存在ですからね」

「ああ、そうだね。……あるのは天翔艦だけか、打ち上げに必要な補助ブースターがあればラッキーだと思っていたけど残念。使い切っていたか」


「あれば自分も眠りから起こされ月に向かうことはできたんでしょうか?」

「その可能性もあったね、調整は終わったまま眠らされていたんだろう? 月にあげられないのにアルケミストを起こしておく必要はないからね」


「そうですか」

「今回は月に上がれるのだからいいじゃないか」

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