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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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準備と修復 2

 

 ポケットの多くついたダッフルコートにマフラー、いつも以上にナノマシンで作った服で厚着をしたジークルーンが、ユウセイたちの到着で騒がしくなった場所を見に来たレイショウとハジメのもとへとやってくる。


「ここにいましたかレイショウさん」

「ジークルーン、……もこもこしてあったかそうだな?」


「いいえ、これは防御用に着込んでいるだけです。それでは、自分たちは基地のあった場所へと向かいます」

「道案内に俺はついていかなくていいのか?」


「ええ、まだ今日のような武器を持つ鬼がうろついていないとも限りません。防御用に盾を作るナノマシンを持たないレイショウさんを連れて行くと危険なんです」

「あの銃を持った鬼、村長の息子だけとは限らないもんな」


「ええ、ですからここで隠れていてもらって自分たちだけで見てきます。そのほうが危険は少ないです見ますから」

「ジークルーンと初めて出会ったあの建物までの道はわかるか?」


「来た時の方角は覚えています。ですが、星の船を落とされたときに地形の様子も変わっているでしょうし、案内があっても変わりはないと思います」


「そうだな……なら気を付けて、無理はしないように」

「はい。それで、レイショウさんの体内にあるナノマシンはいつ戦闘があってもいいように活性状態にしておきます。夜なのでもう寝てしまうかもしれませんが、万が一に備えて。力加減に気を付けてください」


「いつも通り村の片づけに使わせてもらうよ。今夜中に帰ってくるのか?」

「ええ、キルシュブリューテの状態を見てくるだけですからそのつもりです」


「なら村の片づけでもして待つよ、あいつらがまたハジメに悪戯しないように見張っていないといけないし」

「では、ここの留守を頼みます。出立の時バリケードを開けていくので閉めておいてもらえますか」


「はいはい」


 歩行バイクの前でジークルーンに言われて同じように、襲われた際に盾となる多くナノマシンを持っていくために艶やかな服装で厚着をしたユウセイのが待っている。

 工場の地下でレイショウとの戦闘時に来ていたアジサイ柄の袴の上にファーのついた厚い金色の生地の赤い菊の柄の法被を羽織り細かった体はふっくらと着膨れしている。


「お待たせしました。……派手ですね。あと何を持っているんですか?」

「持っているのは燃料だよ、天翔艦の。私の服装は外に出るんだから、おしゃれをしたつもりだが」


「ユウセイはその服装で行くんですか?」

「ん? 変かな」


「一応は今の時代に合わせた服装に着替えてもらったほうが目立たないかと」

「すべての私が選んだ服装なんだが」


「必要ないでしょう……自分の天翔艦を見に行くだけですよ」

「まあそうだが、いいじゃないか」


「緊張感を持ってください、先日空から船を落とされたばかりなんです。何が理由なのかもわかない中で目立つ行為は避けたほうがいいと思うのですが」

「せっかく外出用の服に着替えたというのに」


 話しながら二人はバイクにまたがる。

 キーは刺さったままでエンジンをかけハンドルを握り前方に体重をかけると、二本のロボット足は一歩ずつ歩を進めレイショウやジュンセイ、村に残るユウセイに見送られ村の入り口に立つ。


「少し待ってください、バリケードを開けてきます」


 歩行バイクから降り村に鬼の侵入を妨げるために設置したバリケードの金網を動かすと、バイクの元まで戻ってきたジークルーンはユウセイの服装を見る。


「やっぱり目立ちますよユウセイ」

「わかったよ」


 小さくため息をつきユウセイは服をなでると、金色の生地を茶色と黒色へと変え菊の模様も消えた。

 服の色だけでなく感情まで暗くなったユウセイは問う。


「これでいいかい?」

「はい、ありがとうございます。ではいきましょう」


 ライトをつけ二人を乗せた歩行バイクは暗い外へと飛び出すと、ジークルーンが眠っていた基地のあった場所へと向かい走り出す。



 外へと出て行ったジークルーンたちを見送り村の入り口まで歩いてきたジュンセイはバリケードを閉める。

 倒した大鬼を一目見てからジュンセイは見送りについてきたレイショウとハジメを見た。


「さて、ジークルーンたちは無事に帰ってくるかな」

「不吉なことを言わないでくれ、ジークルーンはちゃんと帰ってくる」


「あの銃を持った鬼、もしかしたら私らの知らない鬼がまだいるかもだし。何かあったときに対処させるために連れて行ったユウセイだけど、彼女がどれだけ鬼との戦いで使えるか知らない、簡単に死んでたし」

「確かに……ジークルーンが心配だ」


 レイショウの裾にしがみついていたハジメが背後を指さす。


「いっぱいいるあの人たちは、おいでおいでしててこわい」


 ジュンセイとレイショウがハジメの指さすほうを見ると、村の入り口のほうまでぞろぞろとついてきたユウセイたちの姿があった。


「ああ、ユウセイね。あそこに鬼と死んだユウセイを廃棄したから調べてるんだと思うよ」

「死んでも同じ人間がいるんだもな。というか一応は弔ってやらないのかよ?」


「体に残った少量のナノマシンのよって分解されるよ、伝染病などを起こさせないためにね。鬼と一緒さ」

「俺も死んだら? 鬼にはならないのか?」


「妹もだよ、成り行きとはいえナノマシンが入っているからね、すぐに骨になる。私らのナノマシンが入っている限りは二人ともあんたの友人のようにはならないよ」


 彼女らはレイショウたちが片づけで村の隅に積み上げた瓦礫の山を数人でほじくり返し、焼けた生活用品やユウセイの工場で作られた家電製品を物色している。

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