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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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準備と修復 1

 

 鉈をしまいレイショウは不安げにドアを少し開け除いているハジメのほうへと歩いていく。

 武器を持たないレイショウの姿を見て外が安全だとわかると、彼女は家から飛び出し全力で駆け寄り抱き着いた。


「鬼は倒したよハジメ、もう安全だ」

「すごい音がしたよ、怪我は?」


「ああ、俺も驚いた、また新しい鬼だ怪我はないよ。鬼が武器を使ってきたんだ、ちゃんと隠れてて偉かったなハジメ」

「まかせて」


 レイショウたちが家の前にいると村の入り口のほうからジークルーンと、バリケードの修復を終えたジュンセイが戻ってくる。

 そこにユウセイの姿がなく、ジークルーンは何も言わず部屋へと入っていきあたりを見回しレイショウは同じく部屋に帰ろうとしているジュンセイに尋ねた。


「あいつは? あのいやな奴、見回りか」

「ユウセイのこと? 死んだよ、見てなかった? 撃たれたの、当たり所が悪かったね、ナノマシンの治療じゃ間に合わない深さと大きさだった」


「死んだ?」

「失血死だよ、血を失ったの。即死じゃなかったみたいだから私らが名前を呼んだときはまだ生きてたかも……ああ、あんたらは病死や老衰以外は死んだら鬼になるんだものね。あのユウセイはもう起き上がらない、アトランティカの時のような鬼にもならないよ」


「殺しても死ななさそうなのに、か?」

「そりゃ死ぬよ、私らだって変わってはいるけど人だから。今言ったアトランティカもあんたの友達が殺してたじゃない。私たちだってナノマシンがなければ人と同じさ、簡単に死ぬよ」


「そうなのか……」


 鬼を操り村を襲撃させた張本人で憎く嫌いだったとはいえ、ジークルーンの仲間として数日行動を共にしたユウセイが死んだと聞いて多少のショックを受けるレイショウ。

 何十人といるユウセイの一人だとしても死は死、三本角の鬼との戦いで命を落としたミカドのことが頭をちらつく。

 立ち並ぶ家の真ん中にある自分の作ったものを楽しそうに語っていた彼女が乗ることのなかった歩行バイクを見た。


「何時か分からないけどここに来るあいつらは、自分が死んだときの記憶を持っているのか」

「どうだろう。彼女らは頭の中に埋め込んだチップか何かで会話や記憶の交換はできるって言っていたけど、地下だし距離も離れているし死んだあのユウセイが脳に記憶を記録しているデータバンクがあればかな」


 そこへペットボトルをもってジークルーンがやってくる。

 彼女は口をつけ喉を潤すとレイショウと話していたジュンセイに話しかけた。


「二人ともお怪我はありませんか?」

「私は無事、彼にも大きな傷は見られない」


「ほかのユウセイが合流してきたら自分は、自分の天翔艦キルシュブリューテのもとへと向かいます」

「そう、この二人はどうする? 一緒に連れて行くの?」


「いいえ、ジュンセイは二人を守るため村で待っていてもらえると助かります」

「わかった、それでいいよ」


 襲撃のあったその日の夜、工場から伸びてきたトンネルが村につながった。

 地面を削ってきたシールドマシンを端のどけ気怠そうな目をした褐色の女性がぞろぞろと現れる。


「ようやく到着したな、なんか焦げ臭いなここ」

「もう土臭い土の下にいなくていいんだ、風呂に入りたい」

「私たちはナノマシンは同時に一人しか扱えないから困ったけど何とかなったな」


 できたばかりのトンネルのそばに座り休むユウセイたち10人ほど。

 皆、見慣れた地下空間に空き村の様子を自分の目で見ようとやってきて、出迎えにやってきたジークルーンに顔を向ける。


「お疲れ様ですユウセイ、何日もの間ありがとうございました」

「やぁ、ジークルーン。お久しぶり、姿が見えないが私はどこかな。ここまでのことを知りたいのだけど、もしかしてもう寝た? ここには楽しめる娯楽がなさそうだもんね」


「私たちと一緒に行動していたユウセイは6時間ほど前に鬼の襲撃で死にました」

「あらま」


 死んだと聞き少し驚くようにどよめくが彼女たちの気怠そうな目だけは変わらずただ、そうなのか意識を共有できず残念だと漏らし話は終わった。


 ぞろぞろと現れたユウセイたちがレイショウに悪さをしないように遠くからハジメが観察し、何人かのユウセイがそんな彼女に気が付き手を振ったり手招いた入りし彼女を怖がらせる。


「そのユウセイが死ぬ原因となった、銃を持つ鬼について何か知りませんか」

「銃を持った鬼? さぁ、わからない。消耗品に消耗させる武器を持たせる必要を感じんかったから。いくら飛び道具だからと言って、殺傷性が高すぎるとナノマシンを使っても鬼を増やせないからね」


「あなたが鬼をここに呼んだのではと、ジュンセイが疑っていますが?」

「私が死んでいるんだ、少なくとも私じゃないよ。ひどいな疑わないでくれ」


「なら自分たちは月に見つかったということでしょうか」

「それは大丈夫だと思うけどね、鬼は自立思考で動く。今でもこの星に鬼が何万体いると思っているのさ、鬼と戦闘があっても向こうは反応が一つ消えた程度にしか思っていないよ。戦闘があったことはわかっても、倒したのが私らだとは思わないさ。絶対に見つかっていないという確証はないけど」


「あの、休んでからでいいですけど、お願いがあります。ユウセイが作ったあのバイクで自分の天翔艦を見に行くのを手伝ってはくれませんか?」

「いいよ。ならすぐ行こう、夜のほうがいいだろう。その前に死んだ私に合わせてくれるか? 微量とはいえ服を作っている私のナノマシンを回収しないといけない、増やせるとはいえ貴重なことに変わりはないからね」


「ええ案内します」

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