表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
75/102

再会 4


振り返ればユウセイがレイショウのもとへと歩んでくる。


「言葉を話す鬼……ナノマシンの脳への浸食が弱かった? 大鬼になる過程で脳を破壊するナノマシンがほかの個所へといってしまった」

「どうして殺した! 村長は話せたのに!」


首をはねた大鬼の死体を見下ろしているユウセイにレイショウが詰め寄った。

左手にもった杖を回しながらユウセイはため息をつく。


「彼は苦しんでいたのがわからなかったか? 残念だが鬼になった以上、もとの人間の姿には戻せない。鬼にされ無理やり肉体改造され、常に体は痛み悲鳴を上げていた。死ぬに死ねずナノマシンに無理やり生かされていた状態だ」

「でも、言葉を話せた。何とかできたんじゃないのかよ」


「攻撃しようと腕を振り上げていただろう、体は支配されていた。飲まず食わずで、体を無理やり変化強化され痛かっただろうに。……ここに帰ってきたのは、工場のアンテナが消え鬼の行動を支持する支配力が弱まったからか」

「またお前の頭のネジの外れた悪戯じゃないのか」


「なら私は高みの見物をしているさ。私はジークルーンのもとに行くから、そいつに黙とうでもしているといい」


ジークルーンのもとへと走っていくユウセイ。

レイショウが白髪の大鬼のほうに視線を落としてすぐ、入口のほうから大きな音がしジークルーンのもとに向かっていたユウセイが横に吹き飛ぶ。


「ッ!! 物陰に、隠れろ、早く!」


倒れたユウセイが声を振り絞って皆に聞こえるように大声を出すと、同時にユウセイの近くで小さな土煙が複数舞う。

遅れて大鬼を倒したジークルーンが大きな音の鳴る村の入口のほうを見る。

手には自身の身長の半分ほどある金属の筒を抱えていて、その先からは硝煙が噴き出ていた。


「なっ!!」


入口の奥から現れる右腕に銃を抱えた鬼。

銃口は声を上げたジークルーンのほうへと向く。

大きな銃声が地下空間に響きわたりとっさにジークルーンは服をすべて盾へと変化させ弾丸の飛んでくる方向に向けながら地下を支える太い柱の陰に隠れた。

数発が盾にぶつかり火花を散らす。


「何事ですか!」

「見たらわかるだろ、鬼だ! 撃ってきた!」


鬼の持つ大きな銃を見て慌てて隠れたレイショウが訪ねる。


「鬼が銃を扱うなんて聞いたことねぇぞ」

「どういうことですかユウセイ」


盾に変えたナノマシンをふくに戻しながら倒れているユウセイに尋ねるが、彼女からの返事はなくジークルーンは別の柱の陰に隠れたジュンセイのほうを見た。


「何か知りませんか、ジュンセイ」

「それは私が知りたいよ。鬼の行動は敵を見つけたら走って近寄り切り裂くか嚙みつくだけ、銃の引き金を引くなんてことはできないはず」


銃を持つ鬼は入り口近くの瓦礫の山の裏に隠れるレイショウのほうへと、よたよたとした足取りで近づいていく。

積み上げた村の瓦礫の山の裏に隠れたレイショウが大声を出す。


「実際撃ってきているだろうが!」

「私にもわからないって。初めて見る、ユウセイの仕業か、寝ていないで起きて何か言いなさいよユウセイ」


柱の上に隠れたジュンセイは答えるとレイショウの隠れた瓦礫の山とまとめて横なぎに斉射される。

銃の反動を抑えきれておらず銃身はブレ広範囲に銃弾がばらまかれ、いろんな方向から床や瓦礫に弾丸が跳ね返る音が響く。


「声を出せば撃たれます、このまま無駄打ちさせれば弾切れを起こすのではないでしょうか」

「なら時期に切れる、あの銃はマガジンがフルなら240発。もう200発は撃った」


二人の会話でまた銃が柱に向かって乱射されるが先ほどより短く銃声は途中で止む。

ジュンセイが瓦礫にあった看板を物陰から投げ様子をうかがった。

堕ちた看板に反応はなくゆっくりと鬼の歩く音だけが聞こえる。


「よし撃ち切った」

「もう大丈夫なんだな!」


ジュンセイと銃を持つ鬼に近かったレイショウが武器を振り上げ物陰から飛び出し鬼の首を狙う。

そこで銃を持つ鬼がマガジンを取り換えるのを見てジュンセイが引き返す。


「戻れ! リロードしてる!」

「なんでっ装填してるんだよ!」


瓦礫の陰から飛び出し止れなかったレイショウは、隠れなおすよりすぐそばまで迫ってきていた鬼を倒したほうが早いとそのまま駆け出した。

鬼は手元も見ずにマガジン交換を終え銃をレイショウに向ける。

だがすでに銃口の目と鼻の先、鉈で銃身をはじき直後に引き金は引かれ銃弾は何もない虚空へと飛んでいく。


「お前は……」


レイショウに狙いをつけなおす前に鉈を振り鬼の首をはねた。

音が静かになり隠れていたジークルーンとジュンセイが柱の陰から出てくると倒した鬼を見下ろすレイショウのもとへとやってくる。


「怪我はありませんか!? レイショウさん無茶をしすぎです! いくら身体能力の向上や傷の回復ができるナノマシンがあるからって、死んだらそれまでなんです。もう少し自分を大切にしてください」

「飛び出したら止まれなかったんだ、仕方ないだろ」


そういって視線を落とし倒したもう動き出すこともない鬼を見た。


「ジークルーン」

「なんですか?」


「この鬼、俺が前から言ってた村長の息子だ。……会いたくはなかったが、鬼になって帰ってくるだなんてな」

「……レイショウさん、先ほど自分が倒した鬼、自分がレイショウさんに連れられて初めてここに来た時にバリケードを守っていた男の方でした」


「俺も村長と戦った……この村で襲われて鬼になったみんなが帰ってきたんだ……」

「鬼であったはずの彼と会話ができたのですが、とても苦しんでいたので、とどめを刺しました。体をナノマシンで無理やりに変化させられ、鬼に変えているナノマシンの制御を奪っても治療は絶望的だったので……」


戦闘が終わってすぐジュンセイはバリケードを作り直しに向かい、ジークルーンは倒れているユウセイの元へと向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ