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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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再会 3


トンネルがつながる日までだらだらと食料を消費しながら日数が過ぎていく。

各自の住む部屋の周囲の掃除が終わると、そのさらに周囲へ掃除は進んでいった。

ほかにすることもなく毎日を瓦礫の撤去に費やしレイショウ、ハジメ、ジークルーン、ジュンセイは煤臭い瓦礫を端へと寄せていると、一人村の片づけに参加せずだらけていたユウセイがバリケードのほうを見て皆を集める。


「おーい、聞いてくれ。誰かが通路を通ってこっちに向かってきている、数ははっきりとはわからないけど複数人。この先の通路を進んできてる」


その言葉を聞いてジークルーンは作業の手を止めナノマシンを使って金属の棒を作り出す。


「誰かって誰ですか?」

「おに?」


ハジメも手を止めレイショウのもとへと歩み寄る。


「もしかしたらあの日ここにいなかった村長の息子かもしれない? 城塞都市で教育を受けていたはず、城塞都市があんなことになったから仲間を連れて身に来たのかも。俺らしか生きていないと知ったらなんていうだろうな」

「城塞都市にいたなら、たぶんもう死んでるよ。町が蒸発してたでしょう、上の町にいた人間は生きていない。地下にいた囚人たちは無事かもしれないけど」


ふぅんとレイショウは一言だけ返事をすると、横にいたジュンセイが顔を覗き込む。


「反応が冷めているね」

「もともと俺もミカドも村長の息子とはあまり仲良くはなかったから。……じゃあ完全にこの村の人間は俺とハジメしかいないのか」


村を見渡しジークルーンが皆を集めたユウセイを見る。


「私らが乗ってきたトラックの轍を見て追ってきたのかも、ほら城塞都市の近くまで行っただろう。トラックに物資が乗っていると勘違いした誰かが奪いに来たって可能性もなくはないだろう」

「とりあえず村の入り口に向かいましょう、誰であれ迎えに行ったほうがいいです」


この場所へと迫りくる何者かを迎えるためジークルーンが村の入り口へと向かう。

そのあとをジュンセイとユウセイ、鉈を持ったレイショウたちが続く。


「ジークルーン、この二人は家の中に避難させといたほうがいいんじゃない?」

「万が一この村に用のある人間でしたら二人のどちらかの存在が必要です。借りに鬼だとしても我々で倒せない鬼はいませんし大丈夫でしょう」


「戦力は大に越したことはないけどさ、少し気が緩んでない?」

「レイショウさんだって戦えますよね」


あとをついてきたハジメがレイショウに訪ねる。


「おになの? それとも、だれかかえってきたの?」

「さあ? 鬼じゃないといいけどな、ハジメは家に戻っていてくれ」


「わかった! 行ってらっしゃい」


一言返事を返すハジメは一人引き返していき家の中に入っていく。

ハジメを隠れさせると先に向かっていたジュンセイと合流する。


「やっぱり人影だ、獣ではなさそうだ」


村の入り口のほうへと歩いていくとバリケードを破壊する大鬼の姿が見えた。

ナノマシンで作られたバリケードは壊されることはなかったが通路の床や天井壁などはただのコンクリート。

無理やり増幅された筋肉の怪力を持つ数匹の大鬼の手にかかればコンクリートを壊しナノマシンのバリケードを強引に押しのけ村に入ることは可能だった。

ナノマシンがコンクリートで擦れ火花を散らしながら動く。


「戦闘になる」


万が一鬼だった場合に備えてレイショウは鉈を構え、アルケミストたちは武器を作り出す。

軍刀、鎖鎌、細いステッキを構え、強引に壊したバリケードを引きずった大鬼と向き合う。

前も見たが通路の天井すれすれにある頭、並の人間の胴回りほど太い腕、長い爪、太い一本の角、入ってきた大鬼は5人。


「あれで全部か? 三本角の鬼もいないのに大鬼が集団行動、これは自然じゃないよね?」

「ユウセイ……何か知りませんか?」

「疑っているね、傷つくよ」


先頭を歩く大鬼二人はバリケードと一緒にあったナノマシンでできた金網に手の爪が絡まり力ずくでは離れることができずにひきで一緒に動いている。

そのほかの鬼たちは村に入りバラバラに分かれて移動し始めていた。


「あの巨体で体当たりされたら、薄く伸ばしたナノマシンじゃ止めきれないか」

「最低限の強度しか持たせていないあの子を隠れさせた家もやばいね、ひしゃげるかも」

「素早く倒しましょう」


武器を握り直しアルケミストたちが顔を見合わせる。


「鬼は五、こっちは四名。でも鬼二人は金網に絡まって動きが鈍っています」

「ならあれは私がやるよ、多くのナノマシンを持っているなら体がなまっている私でも戦いようはある」


「ちゃんと仕留めてくださいね」

「遊んだりしないよ、私だって早く空に上がりたいんだ。これからが本番だってのに怪我なんてしたらつまらないだろう」


武器を構えてアルケミストたちは柱の陰から飛びだしそれぞれ別の鬼を狙う。

遅れてレイショウも背後を見せる大鬼の首を狙って鉈を構え近寄っていく。

一歩踏みしめるたびにドシリと音を立て歩く白髪の大鬼。

レイショウの体内にあるナノマシンの強化で体に力がわくのを感じ、頭より高い位置にある大鬼の首を狙って地面を踏みしめた。

とびかかる準備ができたところで大鬼が立てる足音以外の音が聞こえる。


「……イタイ……ダレカ……」


鬼が声を発したことに驚き、レイショウは攻撃の手を止め距離をとり、足気に気がついた鬼が振り返りレイショウを見た。

額から一本長く大きな角の生えた顔にどこか見覚えがありレイショウは武器を下ろす。


「レイ、ショウ……」

「あんた、……村長か?」


ユウセイは二匹の鬼が持った金網を変化させ網にして絡めとり首を切り落とし、ジュンセイも鎖を伸ばし大鬼に組み付いていた。

白髪の大鬼はレイショウに向き直る。

皴の濃いもとから鬼のようなその顔の上に伸びる一本角。


「ブジ、ナノカ……オマエハ」

「ああ、ハジメも無事……です」


釘のような歯が並ぶ口から発せられる懐かしい声。


「ソウカ、……タノム、俺をラクシニテクレ。コレカラモ体にキヲツケテ、クラセヨ」


言葉を話しながらも大鬼は両手を振り上げると、高速で回転し飛んできた鉄板が大鬼の首と振り上げた手を吹き飛ばす。

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